オンラインカジノの税金計算と確定申告のやり方を解説

オンラインカジノで当たった賞金は「一時所得」という所得に分類され、年間50万円以上稼ぐと課税対象となります。ただし、年末調整を行う会社員の場合はオンラインカジノによる年間利益が90万円を超えていない場合は、確定申告は不要です。このページでは、会社員の方を例にした詳しい税金の算出方法や、確定申告のやり方、必要な書類などについて解説していきます。1. オンラインカジノで稼いだお金は「一時所得」=課税対象! オンラインカジノなどのギャンブルで稼いだお金は法律的に「一時所得」としてみなされ、課税対象となります。ここで「一時所得」とはいったいどんなものなのかを見てみましょう。 一時所得とは? 一時所得に対する定義は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得」となっています。 簡単に言うと、会社員の人がもらうお給料や事業者が生み出す利益などではなく、突発的に手にすることになったお金と考えると分かりやすいですね。 一時所得について詳しくはこちら 一時所得に分類されるもの 国税庁の資料によると、一時所得に分類されるのは以下の5種類と定められています。 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く)競馬や競輪の払戻金生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除く)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等 オンラインカジノで稼いだお金は、この中の「①懸賞や福引きの賞金品」「②競馬や競輪の払戻金」にあたるため、税金を支払う必要があるのです。 2. ギャンブルで税金を払っているイメージがないのはなぜ?さて、ここでギャンブルに興味がある方は 「競馬やパチンコで税金払ったことがない・・・」 「勝ったという話しはよく聞くけど、税金を払ったという話しは聞いたことがない」 と思われた方もおられるでしょう。競馬やパチンコ、宝くじなど、日本でできるギャンブルに税金のイメージはありませんよね。 そして実際、ほとんどの人がギャンブルで勝っても税金を払っていないでしょう。 にもかかわらず、競馬やパチンコのお金を脱税した!というニュースは聞いたことがありません。 その理由は、勝金の受け取り方にあります。 勝金を受け取った「記録」があるかないかの違い 競馬やパチンコなども、本来なら税金を支払わなければならないのです。 パチンコや競馬は勝金を現金で受け取りますので、銀行などの記録に残りません。 そうなると、お金の流れを税務署側が把握できないため取締りが難しくなり、大目にみられている(見逃されている)のが現状なのです。 (ちなみに宝くじは例外で、あらかじめ税金が天引きされています) 一方、オンラインカジノの勝金の受け取りは銀行振込や小切手など、記録に残る方法に限られています。 税務署側がお金の流れを容易に把握できるため、納税しなければ追及されてしまいます。 しっかりと納税しましょう。 3. オンラインカジノの課税金額や所得税の計算方法 ではここで、オンラインカジノで稼いだ時にどれくらいの税金が発生するのか、課税金額や所得税の計算方法を解説します。 オンラインカジノの税金(一時所得)の基本的な計算方法は以下となります。 【一時所得】=【収入金額】-【支出金額】-【特別控除額 (最高50万円)】 これらの一時所得のうち、課税対象額は2分の1となります。 例えば、一時所得が200万円の場合は、半分の100万円を課税対象額として計算します。 会社員は年間利益が90万円以下の場合は確定申告不要会社員の場合、一時所得について以下のようなルールが定められています。 一時所得は最大50万円までの特別控除がある給与等以外の一時所得の課税金額が20万円以下(※)の場合は申告不要 ※一時所得の課税金額は「一時所得÷2」で計算するため、「課税金額20万円×2=一時所得40万円」となる このルールを踏まえると、オンラインカジノの年間利益が90万円以下の場合は確定申告が不要となります。 90万円を超えている場合は、確定申告が必要ですので計算しましょう。 例として、年収400万円のサラリーマンAさんをモデルに実際の計算方法を見てみましょう。 4. 【シミュレーション】年収400万円のサラリーマンAさんの場合 それでは、課税金額の計算方法を、1つの例をシミュレーションしてみます。 Aさんのプロフィール 性別 男年齢 35歳結婚 独身職業 会社員年収 400万円オンラインカジノプレイ歴:3ケ月プレイ頻度 月1回程度 Aさんのオンラインカジノ収支表 日付ベット額収支 4月20日50万円100万円 5月10日30万円90万円 5月28日70万円-70万円 6月20日20万円60万円 合計170万円180万円 課税金額を計算する手順 まずは、課税金額を計算する時の手順を覚えておきましょう。 一時所得の金額を計算する一時所得の課税対象となる額を計算する他の所得と合算し所得税を計算する 上記の流れに沿って、Aさんの年間所得と税金額を計算してみます。 step1.一時所得の金額を計算する まず初めに以下の項目を整理しておきましょう 収入金額:オンラインカジノで稼いだ金額支出金額:利益が出た時のベット額特別控除額:収入から最大50万円まで差し引くことが可能 ※ 注意!損失額は支出金額に含まれない ※ 上記の項目を整理する際に注意したいのは「損失額は支出金額に含まれない」という点です。 オンラインカジノの税金は「利益が出た(勝った)時のみ」発生します。 そのため、税金の計算の際に使用する収入金額に、損失額を含めることができません。 上記で記載したAさんの収支表をこのルールに当てはめた場合、下記の表になります。 日付支出金額(ベット額)収支金額(勝利金) 4月20日50万円100万円 5月10日30万円90万円 5月28日70万円-70万円 6月20日20万円60万円 合計170万円→100万円180万円→250万円 それぞれの項目を計算式に当てはめよう これらの項目を下記の計算式に当てはめます。 一時所得の計算式【一時所得】=【①収入金額】-【②支出金額】-【③特別控除額 (最高50万円)】 収入金額は利益が出た時の勝利金を全て合算します。 【①収入金額】100万円 + 90万円 + 60万円 = 250万円 ※損失分-70万円は計算に入らないので、手元には180万円しか残っていないのに収入金額は250万円となる。 支出金額は利益が出た時のベット額になります。 【②支出金額】50万円 + 30万円 + 20万円 = 100万円 ※損失が出たときのベット額は計算しない。 上記の収入金額と支出金額をもとに一時所得の額を計算します。 一時所得は、【③特別控除額】として最大50万円まで差し引くことができますので、忘れないようにしましょう。 【一時所得】①250万円 - ②100万円 - ③50万円(特別控除)= 100万円 となり、一時所得額は「100万円」となります。 オンラインカジノの収支は1年のトータルではないところに注意! 上記の例において注意したいのは、「一年トータルの収支で考えてはいけない」という点です。 あとからまとめて税額を計算すると、負けたときの支出まで【支出金額】に計上してしまいがちです。 そうすると、正しい税額を計算することが出来ず、せっかく納税しているのに手間がかかったり損したりしてしまうことも考えられます。 ですので、収支はなるべくこまめに記録するのがおすすめです。 step2.一時所得の課税対象となる額を計算する 一時所得額の計算ができたら、そこから課税対象となる額を計算します。 課税対象となる額の計算式 【課税対象額】=【一時所得】÷ 2 【課税対象額】100万円 ÷ 2 = 50万円 となり、課税対象となる額は「50万円」となります。 step3.他の所得と合算し所得税を計算する オンラインカジノにかかる税金は総合課税になるため、上記で計算された課税対象額とお給料などの所得を合算する必要があります。 所得税の計算式 【所得額】= 給与等の所得 + 一時所得の課税対象額【所得税】=( 所得額 - 控除額 )×【税率】 Aさんの場合の所得税を計算してみましょう。 Aさんは会社員で給与所得が年間で「400万円」あります。 先ほど計算した一時所得の課税対象額である「50万円」を合算しましょう。 【所得額】400万円 + 50万円 = 450万円 所得額が出たら、下記の表から「控除額」と「税率」を確認し、所得税を計算してみましょう。 税率表 課税所得金額税率控除額 195万円以下5%0円 195万円超330万円以下10%97500円 ★ 330万円超695万円以下20%427500円 695万円超900万円以下23%636000円 900万円超1800万円以下33%1536000円 1800万円超4000万円以下40%2796000円 4000万円超45%4796000円 Aさんの所得額の場合は、表の3行目にある「330万円超695万円以下」に該当します。 この「税率」と「控除率」を当てはめて、下記の計算式で所得税を算出してみましょう。 所得税の計算式 【所得税】=( 所得額 - 控除額 )×【税率】 【所得税】(450万円 - 427500円)× 20% = 814500円 おおまかではありますが、これでAさんの所得税額の計算ができました。 ここでの計算例はあくまでも一例であり、状況により変わることがありますので、ご注意ください。 不安な場合は、税理士さんなどの税金のプロに相談する方が良いと思います。 オンラインカジノで利益が出た場合は、しっかりと確定申告と納税を行いましょう。 手早く「自分の税金がどれぐらいかかるか知りたい」という方は、所得税の自動計算ツールも公開されていますので、活用してみてはいかがでしょうか。 一時所得にかかる所得税計算ツール 5. 確定申告は自分でする必要がある さて、納税するといっても自分で納税したことがない方も多いと思います。 企業勤めの方ならば、企業側が税金関係の処理をまとめてしてくれるからです。 しかし、オンラインカジノの勝金はプレイヤー個人の収入ですので、自分自身で確定申告を行い納税する必要があります。 税金のかかる時期・申告時期は? 税金は、その年の1月1日から12月31日までに稼いだお金にかかります。 そして、その翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をします。 たとえば、2020年の6月にオンラインカジノを始めた方は、2020年の12月31日までの収入を2021年の2月16日から3月15日の間に確定申告します。 2021年に入ってからの収入は含みませんので注意してください! 自分で申告するとなると、億劫で先延ばしにしてしまうこともあるかと思いますが、早めに行くことをオススメします。 なぜなら、この時期の税務署は信じられないくらい混み合うためです。 みんな面倒くさかったり忙しかったりで先延ばしにしてしまうのか、確定申告時期の最終週が特に混み合います! 2021年の確定申告は4月15日まで期限延長! 確定申告の期限は通常は3月15日までですが、2021年(令和3年)は、新型コロナウイルスによる影響を踏まえ4月15日まで延長となっています。 例年と比べると1か月の延長となりますが、混雑を避けるためにも、なるべく期日に余裕をもって申告に向かうようにしましょう。 【参考】国税庁資料:税金の申告・納付期限の延長について   確定申告に必要な書類 確定申告を行うときに、必要となる書類は以下の通りです。 源泉徴収票(企業勤めの場合、年末年始頃に企業から受け取る)支払調書(年末年始頃に、オンラインカジノ側から受け取る)経費の領収書(所得が300万円以下の場合は不要) 「支払調書」に関しては、オンラインカジノに直接問い合わせて受け取るか、自身で収支明細をプリントアウトする、自分でつけた帳簿などでも大丈夫な場合があります。書類を用意した後は、普通に確定申告を行うだけです。 初めての方は難しく感じるかもしれませんが、わからないことがあっても税務署の方に直接聞けば確実にできます。 要チェック!稼いだお金が会社にバレないようにするには 会社に勤めているプレイヤーの方は、確定申告をすると「オンラインカジノで稼いだお金がバレるのでは?」と不安になってしまうのではないでしょうか。 そんな方達が気を付けておきたい点は、確定申告書の2面【給与所得者がその他の所得にかかる住民税の徴収方法】という欄にある【自分で納付(普通徴収)】にチェックを入れるということです。 ここにチェックを入れないでいるとお勤めの会社に届いてしまいます。 副業禁止の企業であればバレると問題になってしまいます。そうでなくても「この”その他の所得”って何で稼いだの?」などと聞かれたくはないですよね。チェックを入れておけば、住民税徴収票が自宅に届くようになります。 企業にお勤めの方は必ずチェックするようにしましょう!

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